ユニバーサルアナリティクス終了まで約2か月!Convpathの大谷さんとバックアップサービス開発について対談しました。

2024年4月22日

ユニバーサルアナリティクスがあと2か月ほどで終了します。終了してしまうと今までのデータは二度と見ることができませんから、気になる人はバックアップを取っておきたいですよね。ユニバーサルアナリティクスのバックアップサービスであるUA Backupを提供しているConvpathの大谷さんと、開発の経緯などについて丸山が対談しました。

解析業界に貢献したい大谷さん、データ分析難民を救うツールを作りたい丸山

-今日は、ユニバーサルアナリティクスが7月で終了するということで、バックアップサービスを提供されている大谷さんと丸山と対談しようという企画です。まず、大谷さんから自己紹介をお願いできますか?

大谷
大谷

株式会社コンパス代表の大谷といいます。よろしくお願いします。

UA Backupを始める経緯についての話でもあるんですけど、元々のキャリアは営業マンとか企画側の人間で、ちょっと手に職が欲しいなと思ったところから、スマホアプリを作ってみたり、ブログの運用を個人でやっていました。

その後、SEOのアイオイクス株式会社さんに一時期在籍させていただいて、解析を担当しました。インハウスをやってみたいなと思って転職して、仮想通貨の株式会社ビットフライヤーさんで、マーケティングのグロースと、データチームのマネージャーを経て、最終的には独立をしたというキャリアです。事業的にはコンサルがメインですけど、UA Backupを作っている会社です。

ー丸山とも近しいキャリアなんですね。では、自己紹介をお願いします。

丸山
丸山

私自身は元々エンジニアで、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社というSIerでずっとエンジニア畑にいました。その後に、2007年あたりにインターネット業界、SEOに強い会社に飛び込みたいと思って転職し、そのまま独立というスタートです。

アクセス解析界隈には今のアナリティクスアソシエーションの初期から、アクセス解析界隈に参加して解析畑をやりつつ、中小企業から大企業までデータを中心としたWebのコンサルティングをしています。

解析ツールをいろいろ使ってきたものの、いいツールがなかったので、自分でヒートマッププラグインを作ったのがここ最近です。

ーありがとうございます。お二人ともユニバーサルアナリティクスのバックアップのサービス作られていますよね。なかなかニッチ分野なのに、なぜやろうと思ったのでしょうか?

大谷
大谷

元々クライアントから、「GA4に切り替わると、どこかのタイミングでユニバーサルアナリティクスのデータなくなっちゃうらしいんだけど、どうすればいいんですか?」という質問をいただいたっていうのがきっかけでした。

弊社としては何も出せるものがなくて、調べていくと管理画面からダウンロードしてくださいとGoogleからアナウンスされていたんですよね。

いろいろ書いてあるものの、Googleは手厚くサポートしてくれる気配があまりなかったので、もしかしたらこれバックアップのニーズがくるかも?と思ったのがきっかけです。

ークライアントから聞かれて、やってみようと思ったけど、CSVのダウンロードなんて量が多すぎてやっていられないし、Googleさんは好きにしていいよ、くらいしか書いてないので、何かやれそうかなという感じだったんですね。

大谷
大谷

はい。当時は、まだ会社立ち上げたばっかりで、不安なことだらけだったんですけど、Web業界に何かしら貢献したいなみたいな思いは創業前からありました。ちょうどいいタイミングだし、解析をやっている人は困ることが多いと思ったのでツール化しようという流れですね。

ーどのようなきっかけでやろうと思ったんでしょうか?

丸山
丸山

元々QAアナリティクスを作っていて、これはGoogleアナリティクスと非常に似たデータの持ち方をしています。その理由は、皆さんが使い慣れたツールがユニバーサルアナリティクスなので、データの互換性があったり、画面表示も似ていた方が使いやすいという考えがあったからです。データをQAアナリティクスにインポートできるようにしたいとも考えていました。

そんなときにユニバーサルアナリティクスがなくなるという話が出てきまして、バックアップツールとして単体で成り立たせた方が、皆さんのニーズにあうかなと思ったのがきっかけです。

大谷
大谷

私の中では、解析ってすごくGoogleアナリティクス依存だと思ってます。ある意味マーケターが諦めてしまってるというか、もうAdobe AnalyticsかGoogle アナリティクスしかないみたいな感じです。

この状況で第3のツールを開発されているのが素晴らしいと、前々から思っていたので丸山さんのことは存じ上げていました。

バックアップサービスが競合的な立場になってしまったときに、正直、ちょっとやばいなと思いながらやっていました(苦笑)。今では、同じようなことをやれて光栄だなという気持ちです。

丸山
丸山

私も存じ上げていまして、簡単にバックアップをしたい人にはUA Backupを勧めるときもありましたよ。

大谷
大谷

こちらでも、Analytics Backup by QAを勧めるときがあります。すみ分けができていると思うんですよね。

広く浅くデータを取得できるUA Backup、ほぼすべてのデータが取得できるAnalytics Backup by QA

ーすみ分けという話が出たので、サービスのことをお聞きしたいと思います。大谷さんはサービスを立ち上げるときに、ユニバーサルアナリティクスのデータを全て取ろうと考えたのか、もしくは仕様的に難しいから一部にしようと考えたのか、このあたりの取得するデータについてはどうやって決められたのでしょうか?

大谷
大谷

私自身がブログを過去にやっていた経験もあって、コツコツ頑張って書いてきた記事の実績がなくなっちゃうのは悲しいことだなって思っていました。ブログを書くのってすごい大変で、検索順位の変動で一喜一憂したりもしますから。

その体験があったので、一生懸命にブログを書いている人たちにバックアップを取れるサービスがあったらいいな、というコンセプトができて、少しでも多くの方に、広く浅くデータが取れるものを提供しようというスタンスになりました。

ー最初から小規模サイトのバックアップを考えていたんですね。多くのサイトのデータを取得しようとするとすぐに制限がかかるのですが、そこはどうやって解消されたのでしょうか?

大谷
大谷

UA Backupはツールをお客様に導入していただくのではなくて、弊社がお客様の代わりにデータを取るという方法なので、おっしゃるようにAPIの割当量が問題になります。そこでGoogleのAPI割り当ての担当者さんに連絡をして、割り当て量を上げてくださいって交渉しました。コンタクトを取るまでに半年かかったりと、ものすごく大変でしたけど、Googleとしては1か所からつないでもらったほうが楽ですし、ギリギリになって大量のリクエストが来るよりはいいはずなので頑張りました。

ーGoogleと交渉されたんですね!ここまでして開発されていたとは。Analytics Backup by QAはまるっとバックアップというスタンスですよね?

丸山
丸山

はい、そうです。広告を出稿してる人だとキャンペーンの成果を振り返るのが多いだろうという予測があったんですよね。今までの分析経験からすると、ディメンションを細かく取っておかないと、後で振り返ったときにデータが無いとなるだろうなと思ったので、全部取ろうとなりました。また、1日単位で細かくデータを取っていく方法にしています。

ここまで細かくやってしまうと1社だけで大量のデータとなってしまい、GoogleAPIの制限にひっかかってしまいます。そのためすぐに上限がきて他の会社のデータが取得できなくなり、大谷さんのようにクラウドではできない。

なので、1社ごとに分けてAPIを使ってもらうことで、その制限を回避して、たくさん取れるようにしました。クライアントに面倒くさいと言われるところもありますが、こうするしかないんですよね。

大谷さんもIPアドレスとか1日の上限にはかなり苦労されたと思います。

大谷
大谷

やったから言えますが、ものすごく苦労しました(笑)。

ーお二人とも、最初はもう少し簡単に取れるイメージだったんでしょうか?APIをつないだら簡単に取れるよね、といった感覚でしたか?

丸山
丸山

初めは気軽に考えてましたね。過去に何回かAPI投げたことがあったんで、いけるだろうって感覚でやってみました。

制限は意識してたんですけど、Google側のAPI自体のバグもあるんですよ。投げたけどもこのサイトでは返ってくるけど、このサイトは返ってこないというのもありました。全部データを落とすために何度もリトライするとか、最終的にデータチェックをして、足りなかったらもう1回リクエストを投げるというところで、ものすごく苦労しましたね。

大谷
大谷

もう首がもげそうになるぐらい共感しました。

おっしゃる通りAPIの制限も予想よりきつかったですね。今になって振り返ると、アプリケーション全体で1日5万という制限があるんですけど、それが弊社ではきつかったですし、あとはエラーで途中処理が落ちてしまうとき、API要因で落ちてしまうときの回避をどうするのかとか。サービスインまでずっとやり続けていたので、本当に大変でしたね。

丸山
丸山

やはり(笑)。こんなことは誰にもおススメできないですよね。

ーお二人とも相当苦労されたんですね。なので、ユニバーサルアナリティクスのバックアップサービスが世の中に二つしかないと(笑)。こんなに苦労をされてリリースしたサービスはどうやって広めていきましたか?

大谷
大谷

弊社の場合はとにかくメディアとの記事タイアップを一番重要視しました。広告は最低限打つぐらいで止めて、どちらかというとプロダクトとか機能を上げていって、それがよければ勝手に口コミで広がるんじゃないかって期待もありましたし。

あとはセキュリティをちゃんとしよう、認証をもらうみたいなところを注力してやってましたので、広げようというよりも、広がるような仕掛けをいろいろやっていこうという形で意識してました。

ーUA Backupは無料のサービスですよね。無料でやってしまったらお金がかかりすぎるとか、お金面での不安はありましたか?

大谷
大谷

お金がかかるのはある程度覚悟した上でやっていて、売り上げとしてのリターンもあればいいですし、そうじゃなくても一定の解析の会社としての認知が少しでも上がったらいいなと考えていました。

あとは弊社も解析業界に少しでも役立ちたいという気持ちが強かったですね。

ー解析業界への貢献という思いが強いんですね。Analytics Backup by QAはどうでしたか?

丸山
丸山

解析業界の知り合いや、Web解析協会さんなどに接点があったので人づてですね。最初の認知はセミナーをやるから、やってみないかとかっていう話があって、そこで知っていただいたり、SNSを見て知っていただけた方が多かったかなと思います。

我々は有料で出してますけれども、どんどん売れていくツールではないので、広告費をかけてプロモーションすることはできませんでしたし。

6月になるとどうなるかわからないので早めのバックアップを

ー利用者はどんな人たちが多いでしょうか?差し支えない範囲で教えてください。

丸山
丸山

導入事例に掲載している大学や企業です。取るかどうか悩んでいなくて、取っておくものだと思ってた方たちですね。悩んでいたポイントは手作業でやるのかどうかという、手段の部分でした。

使い方も分析用途です。「Analytics Backup by QAを入れて、バリバリ見てるんですよ」みたいな方がいらっしゃいますし、バックアップしたデータを今度はBgiQueryに入れるツールを自作されている会社もあります。データを1日単位で細かく残していくツールなので、分析に向いているんでしょうね。

大谷
大谷

お話したように、個人のメディアさんをターゲットにしてたんですけど、やってみると、意外と大きな企業メディアとかクリニック、金融系の企業。旅館・ホテルにも導入いただいてます。

過去の推移が簡単なレポートで把握できるレベルのデータを取っておきたい方が多いので、分析をするかわからないけど、とりあえず消えるのは嫌だからバックアップを取っておこうという用途が多いかもしれません。

あと、ご要望いただいたお客様には、分析で使うような細かいデータを取得するオプションの提供も開始しています。

ー終了まで2カ月ほどなのですが、バックアップを検討している人に伝えたいことはありますか?

丸山
丸山

急に全世界からバックアップが始まり想定外のトラフィックが来てしまったら大丈夫かな?という不安はあります。6月にどうにかしようというのは危ないんじゃないかと思いますね。

大谷
大谷

そうですね、まさにそれは懸念していることです。弊社で独自にユニバーサルアナリティクスのバックアップを取ってますか?というアンケートを行ったんですが、バックアップを取ってる方が3分の1以下っていう状況なんですよね。

この状況で残り3分の2、もしくはその半分でも、一気に来たら間違いなくGoogleのサーバー負荷がかかるので、予期せぬ事態は起こり得ると思っています。本当に少しでも早くバックアップを取っていただきたいですね。

解析の業界貢献したい大谷さん、解析の業務を簡単にしたいと考えている丸山。スタートはちょっと違っていても、こうして同じようなサービスをリリースして、お互いのことをリスペクトしあっている関係が良いですよね。

二人が話しているように直前になると混みあう可能性もありますので、バックアップを考えている場合はお早めに!

■UA Backupでのエクスポート方法

■Analytics Backup by QAの特徴